簡単に会議のコストを計算できる、コスト試算ツール/シュミレーター
無駄な会議や非効率な会議は経済的なコストです。この記事では会議のコスト感覚を理解することができる計算ツールをご紹介します。
昨今日本でも(いちおう)政府主導で働き方改革が進められ、昔に比べ「無駄な会議」や「会議の効率化」といった問題が叫ばれることも増えたように思いますが、まだまだほとんどニュースになることもなく、ベストプラクティスの共有などを目にすることも非常に稀です。
その要因のひとつとして個人的に思うのが、現実的に無駄なコストが可視化されていない & 理解されれていないのではないか、ということ。実際企業として会議を効率化し、無駄を減らすことでどれだけコスト削減ができるのか、ということがまだまだ広く認知されていない、と感じることが多々あります。
そんな問題に対して直接的な解決にはならないかもしれないけども、ちょっと面白いツールを発見しました。それはハーバードビジネスレビューが作成・公開しているミーティングコスト計算機です。これは会議の時間と、参加人数、そして各参加者の年収(人件費)を入力することで、その会議を実施するのにかかるコストを簡単に試算することができるツールです。
Source: Meeting Cost Calculator by Harvard Business Review
会議にかかるコストを試算してみる
実際に企業で行われていそうな会議を想定し、そのコストを計算してみます。
1️⃣ 部長1名、部下3名のチーム会議
ざっくりと以下の条件と仮定します。
会議の長さ: 1時間
部長の年収: 900万円前後 (= $80K)
その他参加者の平均年収: 550万円前後 (=$50K)
結果は上の画像の通り、161ドルということで、およそ1万7000円ほどのコストとなります。
4名が参加する1時間の会議を開くだけで、2万円弱のコストが企業としてはかかっているということになります。
2️⃣ マネージャー1名、部下1名の1-on-1ミーティング
設定条件は、
ミーティングの長さ: 30分
マネージャーの年収: 750万円前後 (=$70K)
部下の年収: 450万円前後 (= $40K)
この場合の試算コストは、39ドルということでだいたい4,500円ほど。
1-on-1の場合はひとりのマネージャーが複数人とそれぞれミーティングを行うことも多いと思いますので、その場合全体コストとしては4,500円 x 回数となりますね。
3️⃣ 幹部クラス2名、部長クラス2名、その他6名のプロジェクト会議
仮説設定は以下の通りです。
会議の時間: 120分
幹部クラスの平均年収: 1,200万円前後 =($110K)
部長クラスの平均年収: 900万円前後 (=$80K)
その他参加者の平均年収: 550万円前後 (=$50K)
結果は952ドルということで、日本円で10万円以上になります。
年収1,000万円以上の役員レベル他計10名が参加する、2時間の会議ともなると、やはり1回会議を開くだけで企業のコストとしては10万円を超えてきます。
もちろん普通は各会議単体で費用対効果を計算するものでもありませんが、少なからず各参加者がコスト意識を持って会議にのぞむというのは非常に重要な点だと思います。
尚、あまり各会議のコストを意識しすぎることもマイナスになるので、あくまでバランスをもった捉え方を推奨します。
そもそもその会議は必要?参加者の選定は?
企業のコスト削減においては会議自体の効率化ももちろん大切ですが、それ以前のそもそも論として、会議を召集する前にその会議自体の必要性を確認すること、そして行う場合は必要な人だけ召集するということもとても大事です。
ちょっとした情報共有やアップデートであれば、非同期のコミュニケーションでも十分事足りることがあります。少し時間をかけて内容をテキストにまとめ上げ、それを共有、各自時間のある時に読んでもらう事でも会議の代替になり得ます。
また、絶対に会議に必要なメンバーだけに限定し、会議をコンパクトに保つということは会議自体の生産性にもつながりますし、結局はコスト削減という面でも効果的です。実際、故スティーブ・ジョブズもこの会議をスモールに保つということを非常に意識していたそうです。
その点を意識しつつ、非参加者で関わりのあるメンバーには会議前の情報共有やヒアリング、そして会議後の議事録などでのフォローアップは積極的に行う必要があります。