会議に関する興味深い統計データと、その傾向と特徴

ビジネスミーティングについての複数の調査結果から、会議の回数や平均時間、さらには無駄な会議による損失額などの情報を詳しくまとめました。

会議に関する興味深い統計データと、その傾向と特徴

日本だけではなく、世界中のビジネスシーンで日々行われている会議や打ち合わせ、プレゼンといった様々なミーティング。そのミーティングの統計的概要や傾向が数字でわかるものを探し、内容をざっくりとまとめました。

こういったデータを精度高く調査することは非常に困難と予想されるので、あくまでも概要やトレンドとして捉えるということを主な主旨としています。


以下はHighfiveよるアメリカでの統計データ。

  • 米国のビジネスマンは勤務日(平日)におよそ1100万回、週に5500万回の会議を行っている
  • 従業員が会議に費やす総時間は2020年から毎年10%ずつ増加傾向にある
  • 会議の時間(長さ)は平均31〜60分
  • 会議の73%は参加者が2〜4人
  • 会議においてアジェンダ(議題)が使われているのは37%のみ
  • 詳細なアジェンダに沿って行うことと、開始時間きっちりに始めることで会議の時間は最大で80%削減できる

アメリカの人口はざっくりと日本の3倍弱なので、仮にビジネスマンのこなす会議数の割合が同じくらいと仮定すれば、日本でも毎日300〜400万、週に2000万近くの会議が行われている計算になります。さらに最近では新型コロナウイルスの影響でリモートワークが増えたことによって、会議の数も増えたという声も耳にします。

会議自体の時間が長くなっていることや、アジェンダが使われている率などは日本でも同じような傾向にあるような気がします。

会議の平均時間や参加人数に関しては、もしかすると米国よりも日本の方が多い(数字が大きい)可能性も考えられます。時間にきっちりしていると思われている日本人も、会議に関してはよく時間を超過するといったことを耳にしますね。

次に、The Museの調査では、非効率な会議の実態が浮き彫りになっています。

  • 組織の全体の業務時間のうち、合算すると15%が会議に費やされている
  • 非生産的な会議によって年間約4兆円($37 billion)が無駄になっている
  • 単純な進捗共有のために、従業員は週に最大で4時間もその準備に時間を割いている
  • ミドルクラスのマネージャーであれば、平均で勤務時間の35%を会議に費やしている
  • 経営幹部クラスであれば勤務時間の50%を会議に費やしている
  • 幹部社員や経営幹部は67%もの会議が失敗と感じている
  • 調査に回答した従業員のうち、92%が会議中に他の作業をする(した)と回答
  • 69%の参加者が会議中にメールをチェックしている
  • ビデオ会議中に他の作業をする割合は4%、対して音声会議中に他の作業をする割合は57%

ここでは毎年増加傾向にある会議の長さが、組織全体の業務時間の一定割合を占めるまでに至っており、またその非生産性も重なり、年間で莫大なコスト(無駄)となっていることが伺えます。

ちなみに日本ではパーソル総合研究所が2018年に無駄な社内会議による企業の損失額の調査結果を分析しており、それには1500人規模の企業においては年間の損失額は約2億円、1万人規模の企業においては年間の損失額は約15億円というデータがあります。

上のThe Museの調査でも日本でのパーソル総合研究所の調査でも、幹部クラス、経営クラスと上がるにつれて勤務時間に占める会議の割合が高くなっており、これは彼らの主な仕事がクリティカルな情報をもとに意思決定を行うことにであるため、納得できる、至極当然の結果と言えます。そして彼らの会議が非効率であると、その高額な時給単価から会社としても大きなコストになってきてしまいます。

ハーバードビジネスレビューの記事では、182人のシニアマネージャーを対象とした調査の結果として、71%が会議が非効率あるいは非生産的と感じており、65%が会議によって個人の業務が中断してしまうという回答結果が載っていました。

会議を非生産的にさせている主な要因としては、マルチタスキング(会議中に他の作業をすること)、リモートワークなどでのエンゲージメントの低下、そして会議の段取りや計画の不十分さの3つが挙げられてます。裏を返せば、しっかり会議の調整からアジェンダの作成などの事前準備をしっかり行い、さらに会議中の集中力を高める工夫を取り入れ、オンライン会議であっても各ソフトウェアやツール等うまく使って全員が参加することによって、会議の生産性は高められます。

また上述のように、特にマネジメントクラスでは会議の効率化は非常に重要な意味を持つため、組織やチーム全体としてコスト意識をもって会議の効率化を押し進めることがハイパフォーマンスな組織への有効な施作となるはずです。